125㏄以下 普通小型自動二輪免許(AT限定)を取って来た録
念願の、普通小型自動二輪免許AT限定(なんの呪文)を取得したので備忘録を作る。
インターネットの大海に放つ藻屑のようなこの記事が誰かの役に立てば僥倖です。
普通小型自動二輪免許を取ろうと思った理由
普通自動車運転免許を持っており、原付に乗るようになって早10年。
原付じゃ不満だなぁと思うようになったのはなぜか、そしてなぜ小型自動二輪125㏄以下を選んだのか、理由を述べます。
法廷速度制限30㎞/hが煩わしかった
自動車を運転する方なら当然ご存知のお話ですが、だいたいの公道の法定速度制限は50㎞/h前後です。
20㎞/hとか30㎞/hは少数派ですよね。
で、原付はもちろん30㎞/hなので、これを超過して走行していた場合は警察に御用になるわけです。
もーこれがね、ほんまもーね。
50㎞/hは出てるよね?って自転車に急な抜かれ方したり、マナー悪い四輪自動車に危険な追い越しされたり、その他、30㎞/h以上で走行できる車輛に邪魔者扱いをされたり。
大体50㎞/hくらいが、車道は走りやすいのです。
なぜなら大多数の車輛がそれぐらいの速度で走行しているから、通行車輛の波に乗って進むことができるためです。
足並み揃えて走ると、走りやすいんですよね。
なので、頑なに30㎞/hをキープして走り続けることは、一般車道においては結構な努力の要る作業なのです。
圧倒的に速い速度で走るその他大勢の車輛に囲まれているわけですから。
しかも圧倒的に弱者。四輪自動車と接触しようものなら即・身の危険。
「法定速度30㎞/hに阻まれて実践できない、二輪での快適な走行がしたい!」というのが自動二輪の免許取得を考え始めたきっかけでした。
125㏄以下の小型が必要十分だった
大きいバイクって、まーカッコいいですよね。
街中で見かけても見惚れてしまう。
でも、自分にとってはそれだけでした。
ツーリングに行きたいという野望もない。(むしろ遠出するなら公共交通機関を利用して利便性と快適さに重きを置きたい)
悪天候時には進んで四輪自動車を選ぶ。
ただでさえバイクの駐輪場って限られているのに、大型二輪になると駐車可能施設が極端に少ない。
そしてなにより、大きいバイクと言えば…と考え込んで思い浮かんだのが実写版バイオハザードのミラ・ジョヴォヴィッチが乾いた大地を疾走する映像だったこと。
この公式予告編の最初の数秒のシーンのイメージがまさにそれ。
ミラもカッコいいしバイクもカッコいい。
私の場合、大型二輪の実用性は目茶目茶に低い、との結論に至りました。
広大な乾燥地帯をゾンビに気配りしながら疾走する用事なんか多分ないし。
前述の理由もあるし。
カッコいいバイクといえば、ペルソナ5の世紀末覇者センパイのも思い出す。
(←Amazonリンク)
こんなんもう、改造バイクの域ですね。まさに観賞に重きが置かれている。
こんなバイクを購入・維持する経済的余裕もなければ、日頃の生活において便利に乗り回す絵面も全く思い浮かばない。
以上の理由から、生活必需品的存在としてバイクを欲する身としては、小型のAT二輪で十分だと判断するに至りました。
教習所でやったこと
技能教習を合計8コマのみ、うち3時間はシュミレーター教習というものでした。
シュミレーター教習
Honda | 安全運転教育用二輪ライディングシミュレーターをマイナーモデルチェンジし発売
ゲームで遊ぶ感覚で、実車では危険過ぎて挑戦できない加速をしてみたり、横転間違いなしの運転をしてみたり出来る代物。
二輪教習には公道での教習がないまま卒業となってしまうので、せめてこのシュミレーターで補填しよう、という理屈があるらしい。
このシュミレーター教習に関しては大型MTも小型ATも一緒くたに教習するんですけど、その都度に教官の方がスクーター用とMTバイク用の座席を付け替えてくださいました。
通行人がほとんど登場せず、自転車も時々しか出てこない、というのがちょっとリアリティに欠けていたのが難点。
しかしHonda Dream(Hondaの二輪自動車公式販売店)だけめっちゃリアルに再現されてたのが面白かった。しかも結構沢山でてくる。Honda製やからなのね…(笑)
ちなみにKawasaki製のシュミレーターだと、Kawasakiのショップがちゃんと再現されてシュミレーター内の路面に登場するらしい(教官談)
ちなみにお値段…税抜き¥58,000,000-!!!!(公式サイトより)
たった5コマの実車教習
運転に大した技術を要しないとはいえ、それだけで2種類ある卒業検定コースを覚えて減点対象となる運転を矯正する…というのは案外ハードだった。
- 停車時に右足を地面に降ろさない。
- ブレーキに指をかけたままにしない。
- 乗車時に足を車体幅より開かず、車体幅のうちに収める。
- つま先を車体幅より外側に出さない。
- 力まずリラックスして、背筋を伸ばして乗車。
- がっつり目視(動作として試験官に分かりやすいように)
- 停車中にブレーキを握っておく。
- ブレーキは両手でかける。
10年来、自前の慣れだけでバイクに乗ってきた人間の癖はそう簡単には矯正されません。
スクーターバイクに乗ること自体にはなんの不慣れも無かったので、私の場合は初日から卒業検定コースの走行と、積年の癖の矯正に全てが費やされました。
これ手こずる人いたら大変ちゃいます?こんな短い教習期間で…と教官に尋ねたところ、ごくまれに安定した走行が出来ない方(転倒多発)がいるらしい。
バイクの乗車経験が皆無でAT二輪免許教習を受ける人は苦労するかもしれないと思いました。
ちなみに教官の先生によると「二輪乗車に必要なのは体幹の筋肉で、年齢が若ければ若いほど二輪運転のコツが身に付くのが速い」らしい。
特に一本橋の成否に顕著らしい。
ある程度お年を召されてから二輪教習を初めて受ける方だと、バイクを上手く操ることが出来ない方が多いとのこと。(若い時に乗車経験があると、コツを掴むことが出来る場合も多いらしい)
「最近だと高齢ながらも元消防士の方が華麗な運転さばきで見事に卒業されて行かれました…ものすごく筋肉モリモリの方でしたね…」とのことでした。
筋肉、大事。
卒業検定へ挑戦
「はい今の運転、卒検だったら一発不合格ー!」
何度このセリフを教官にかけられたことか…。
不合格=補習と卒業検定の再受験で約1万円の出費が約束されていたため、何が何でも一発合格したくて必死に取り組みました。
ランチ食べながら卒業検定コースを指でなぞり、二輪教習生待機場所のストーブの前では卒業検定コースを仮想運転する珍妙ダンスをやり続けました。
周囲にいたヤングな二輪教習生たちは、「年寄りって大変やな」と失笑ものだったに違いありません。
実際のところ、卒業検定コースを誤って走行することは減点対象にはならないとのことで、もしも誤って走行した場合は正規コースに戻って卒業検定を続行することが求められるとの説明を受けていました。
でも、そのコース誤りからコース復帰までの走行態度は採点対象になるとのことでした。
卒業検定中の緊張した心身状態で耳に装着したインカムから「〇〇さーん。コース間違えられたんで、〇番の交差点を右折して次の信号左折して、突き当り左折、そこから卒業検定コースに復帰してくださーい」(以上のセリフは筆者の想像)
そんなん言われるんかと思ったら、 絶対にこの卒業検定コースを間違えるわけにはいかないと思った。
間違えたら最後、絶対パニックになる。
そして運転動作もぎこちなくなり、ついでに続きのコース運びにも自信が無くなって、ついには初歩的な減点項目が積み重なって落第する…。
そういう絵面しか浮かばなかったので、私はもう決められたコースを決められた順に走ることを一心に決め込んで臨んだのでした。
結果、卒業検定コースを誤りなく走り抜き、無事ストレートで卒業をさせていただきました。
ほんま…良かった。当日朝に初めて急制動やった人間ですよ私は…。
やっぱり無茶やね。実車教習5コマのみで卒業検定っていうのは。
この急制動はブレーキをかけるタイミングをかなりシビアに判定されるので、直前にスピードメーターを確認する余裕はありません。
しかも乗車しているのは教習車で、私の場合は乗ってたバイクのスピードメーターの表示が体感速度と相沿わず、当初ちょっと苦戦。
結局、日頃の乗車経験で自分が身に付けている30㎞/hの感覚で走ることにして、スピードメーターの目視確認は一切しませんでした。
これが自分には正解だった。毎日々々30㎞/hで走行する努力してる原付ライダーなめたらいかんぜよ(言いたいだけ)
お陰でブレーキをかけるタイミングのみに集中できた。
短い教習期間ながらも学んだことは多かった
普通自動車運転免許を取りに教習所に通っていた頃、二輪教習の独特のアットホームな空気を「不思議だな~」と眺めていたものですが。
運転技術の習得に結構な努力と時間を要する二輪教習では、教官と教習生の関係がより親密になりやすいんだなぁと思った。
あと、二輪の教官されてるぐらいだからまぁ当然なのかもしれないが、二輪の教官の方めっちゃバイク好き~なムードに溢れていたので、未来のバイカー育成に熱が入ってはるのかもしれない。
「どうして小型AT二輪を?MT400㏄めっちゃいいよ?」そう私に問うたオジサン教官の瞳はマジでキラキラぴゅあでした。
教習中もオジサン教官からバイクLOVEのピンクオーラ出まくってました。スラロームされてるの見物してても超楽しそうで。ちなみに激しくテクニカルでした。さすがや…。
そんなバイク指導のプロ達に短期間ながら運転指導を受けて、これまで何となく我流で運転してたのを矯正してもらって、日頃のスクーター乗車のクオリティが向上しました。
- 低速度走行時に車体を安定させるためのアクセルのちょいちょい吹かし
- カーブの時の車体安定性向上
- 忘却の彼方に逝ってた”左方優先”の回帰
- 後方目視が以前より丁寧になった
明文化するのが難しいところだと、ほんのちょっとした運転姿勢とか、ちょっとした体捌きが参考になってたんだなぁと思います。教習中は教官が着いて回って一緒に走行してくれていたので、その折々で「あ、お上手~」って思いながら見てましたが、まさにそのいちいちが勉強になっていたみたいだな…と後からシミジミ感じています。
実はこの明文化できない学びとか気づきがあったのが最大の収穫かもしれない。
短期間ながらも二輪教習に行って良かったなと思います。
ついに至福のバイク選び開始
二輪乗りの色んなパイセンに相談してキャッキャウフフしているこのところ。
「今が一番楽しい時だよね(笑)」と全てのパイセンが仰る。
どれがいいかなぁ~♡ってな具合ですよたしかに。
以上です。