村岡花子訳『べにはこべ』を読んだので感想
長き積読時間を経て、やっとこさ読了しました。
訳者の村岡花子さんとは、2014年にNHK連続テレビ小説で主人公のモデルになった女性です。
いや長いなー…積読期間…ドラマが話題になってた頃に発売している本やから6年積んでたってことやん。
ドラマで主演されてた吉高由里子さんの印象がすごく強くて、可愛い雰囲気の女性のイメージがめちゃめちゃありました。
事実を題材にしたフィクションやってのは分かっててもね、吉高さん可愛かったし相手役の西郷どん(鈴木亮平さん)とのシーンとかもうホンマ胸きゅんでもう。
そんなわけで、ついつい「吉高由里子の顔した女性が翻訳した小説」を読む気分で最初は手に取ったのでした。
村岡花子さんの知性と品格が溢れ出ているかの様な文章
いざ読んでみると、ものすごくスッキリとした文章がとても読み易くて驚きました。
外国語を翻訳した文章って、読みにくかったり不自然になったりすることがままあります。
しかしこの『べにはこべ』にそれはありませんでした。
極めてあっさりと、さらりとした読み心地の文章で、元々が異国語で書かれた物語であるのを忘れてしまうほど読み易かったです。
かと言って平坦のっぺらな文章でもなく、色彩鮮やかに物語の場面を想起させる筆致で、それに感心しながら読み進めました。
ストーリーそのものは、自分にとってはそんなに胸に迫ってくるような感動はなかったです。
自分の好みに合わず粗筋に読み応えは覚えなかったが、巧みな翻訳には唸らされました。
読み始めてすぐに、村岡花子さん=吉高由里子さんのイメージ絵面は吹っ飛んで消えましたね。
貴族な男女のラブゲーム
ヒロインと旦那さんのやり取りを丁寧に描いた場面が秀逸でした。
当時なりの、彼らの身分なりの、性差に適当ななりの態度を双方が取りながらも、現代の男女ドラマに通ずるやり取りがなされているのがちゃんと読み取れました。
傷つきたくないとき、強がっちゃうのは今も昔もいっしょってね…。
翻訳物で男女の駆け引きにおける心理描写を「分かりにくいなー」って思いながら読むことが大半なのですが、今回はありませんでした。
むしろ分かりやすかった。感心した。
原作者バロネス・オルツィさんも外国語で執筆してたって話
原作原文は英語ですが、原作者のバロネス・オルツィさんはハンガリー出身の高貴な生まれの女性です。
イギリスに嫁いだ先で、苦しい家計の助けにするため物書きになられたそうです。
『べにはこべ』シリーズで大ヒットを飛ばし、他に推理小説も多く書かれたとのこと。
なんやまるで『べにはこべ』のヒロインにちょっと重ねちゃうような、ハリー・ポッターシリーズのJ・K・ローリング思い出すような(笑)
でもやっぱり感心するのは「外国語で本を書いて、しかもそれが大衆ウケしちゃう」ってことですよ。
すごすぎる。憧れちゃう。
せっかくだし原文に挑戦するのもいいかもしれない
オイオイお得か…!!
ところで英語原文版の表紙、えらい自分が読んだ版とイメージちゃうな。
なんでもAmazonに投稿されてる口コミによると、英語自体がとても平明で読み易いらしい…。
そうか原文の英語も読み易いのか…。
作者が英語ネイティブじゃないのが関係しているのかな。
しかしもっぱら気になるのは、これだけ表紙のイメージからして全然違う英語原文版を読んで物語のイメージがひっくり返ってしまったらどうしよう、ってことです。
それって村岡花子さんの翻訳に対する感想も変わってしまうってことな気がする(笑)
でもとっても興味がある。
村岡花子訳で唸らされた描写が、原文でどうなっているのか。
上手いこと訳さはったもんやなぁ~!って重ねて感動させてもらえたら儲けものやな。
読むの楽しみ!
以上です。