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ZERO ESCAPE 3部作 遊び終えたので感想

ZERO ESCAPE 3部作とは

ZERO ESCAPEシリーズ 総合サイト | スパイク・チュンソフト

スパイク・チュンソフトのゲームタイトルです。極限脱出シリーズとも呼ばれています。

全シリーズに共通するのは「ゼロと名乗る謎の人物にしかけられた命がけの脱出ゲームに男女9人が挑む」という物語です。

テキストを読むことでゲームが進行するノベルゲームのスタイルで物語は進行しますが、随所に配置された謎を解き明かすことが求められる、ミステリー要素の強いゲームになっています。

 

実際に遊んだタイトルとスペック

 

ゲーム雑誌で絶賛されているのを読んだことがあって気になっていたタイトルでした。

ゲーム屋さんで見かけて衝動買い。

こういうゲームってちゃんと予習せずに遊ぶのがいいよねって信条で、まったく予習せず遊んだので、この時点で続きの物語になっているとも察知せず遊び始めていました。

 うーん。衝動買いって感じやね!

 

3部作の最終章に当たるタイトルに関しては、PS storeでダウンロードしました。

store.playstation.com

今なら60%オフでかなりお買い得。

 

いやもう第2部の『善人シボウデス』遊んだら続きが気になって仕方なくなり、翌日の夕方にはもうポチってましたね。

そして夜にはプレイし始めてましたよね。

PS store、ありがたや~。便利ですねホンマ。

 

日本語テキストと英語音声でプレイ

当初の販売時には全作品フルボイスではなかったそうですが、リニューアル版はフルボイス実装で販売されています。

しかも全作品、英語音声の実装もされています!最高。

英語音声を当てた外国人の声優さんが、またこれお上手で!最高。

 

ちなみに日本人の声優さんもすごく豪華な布陣です。詳しくない私でも「あ、知ってる」って分かる、そこらじゅうで見かける人気声優さんが揃ってます。

 

映画やドラマで英語音声を聞き取るのは高難度ですが、”声の演技のプロ”である声優さんたちの音声ゆえか、このシリーズ全編を通して実装されている英語音声の聞き取りやすいこと! 

 

残念ながら英語字幕は出ませんが、何度でも聞こうと思えば場面を操作して選択できるので、気になるセリフを英語で聞きこんでみるもの一興。

英検2級、TOEIC500超えてるくらいでそこそこ聞き取れると思います。ディズニーアニメーションの英語を聞き取るのよりも簡単かもしれません。

それぐらい、英語の声優さんの発音が明瞭でした。

 

演技も上手くて担当キャラクターの雰囲気にもぴったり当てはまってて、え、なに、最高?(大事なことなので何度も言う)

 

セリフの内容もよっくよっくよく英訳されてると思います!日本語字幕と比較して違和感のある表現には出会いませんでした。(玄人ではない当方調べ)

 

※これより以下、ネタバレありますのでご注意ください※

 

 

第1作『9時間9人9の扉』

 極限脱出 9時間9人9の扉

ただの記号的存在に収まらない個性豊かな登場人物たちのバックグラウンドや人間性が語られるにつれ本筋の物語が露わになっていく様は、この後に続くシリーズの雛形となっていると思います。

この道筋が快感なら、他のシリーズも楽しめる。

 

先述の通り英語音声で終始プレイしたのですが、淳平くんと茜ちゃんの名前が発音しにくかったらしく、「ジュンピー」「アカァニー」になってたのが面白かった。

シリアスなシーンでこれ聞くとなんか…和んだ。

他のも含めて英語音声での呼び名は、

①一宮 → Ace

②ニルス → Snake 

③サンタ → Santa

四葉 → Clover

⑤淳平 → Junpei

⑥紫 → June

⑦セブン → Seven

⑧八代 → Lotus

なぜそうなる?という名前からそのまんまの名前まで。

 

数字を用いて解くトリックの多彩さ 

終盤のバングルナンバーにまつわる謎解きが一番テンションあがりました。謎解きパートだけが謎解きではない。

ニルス兄ちゃん頼り甲斐ありすぎ。そら四葉メロメロなるわ。

 

数字を駆使したトリックに挑むのは、数字に苦手意識のある自分には謎の達成感を与えてくれました。

え、そんなにヒントくれるんやったら主人公だけに任せなくていいやん…ってくらい周囲のキャラクターがヒントを口走るのと、ヒントっぽいとこで〇ボタン押しまくってたら余談みたいな会話も飛び出すので、楽しく連打しておりました。

ちょっとダジャレ多かったな。特にヒロインであるはずの茜。オッサン乗り移ってた?

 

プレイ後の余韻の爽やかさ

ゼロの目的が最後の謎解きと重なって明らかになった時、淳平が焦がれた少女時分の茜がリンクして感動した。

客船から砂漠に降り立った解放感と、絶対的窮地に陥っていた幼馴染を助けられたっていう達成感。

妹を助けたかったお兄ちゃんって構図が切ない。しかもそのお兄ちゃん本人であるサンタからの暴露とか種明かしのシーンが一切なく、真相がつまびらかにされていくくだりは見事だなと思いました。

茜も、真相に直に触れることは一切語らないまま姿を消してしまう。

淳平も、そら追っかけてしまうよ!

 

第2作『善人シボウデス

 極限脱出ADV 善人シボウデス

物語を分岐させるABゲームの存在が終盤にかけて憎たらしく、「あぁもうこのシステムが道筋を複雑にさせてる!」と軽くイライラしていました。

が、そこに黒幕の意図が絡んでいたことが明かされる終盤…よい意味で裏切られました。

 

ところでゼロ3世が、ちびまる子ちゃんそのまんまの御声でしたね。かわいい。

英語音声の声優さんもすごく良い味出したゼロ3世(英語版ではZero junior)を演じられているので、興味ある方は御一聴。

シグマ「シギィー」、ファイ「ファイドォー」、ルナ「ルゥニィー」などと呼びかけてみたりしてくれます。

ていうか3世って、もうここで既に3部作への骨子が見えてるやん!こわ!

 

あれこれ動きまくる登場人物たち

全作からの大きな違いのひとつは各登場人物たちが3Dで動くようになったこと。

わぁ動くーって感動はすぐに過ぎ去って、あとは単調さを強調したり、動作や表情として違和感を覚えさせたり、といった弊害も目につきました。

特に四葉が、半笑い顔で視線を上に向けたまま固まってる場面に、強烈な違和感を覚えたのが印象的でした。

あとは、ごく一部のシーンでしか見られませんがKが顔に両手を当てるオチャメなポーズ、かわいくて好きでした。

 

前作からの登場人物たちに思った事 

天明寺」

今作でも茜とのハッピーエンドは成らなかった。月まで追っかけて茜本人と接したことで自身が得た結論を受け入れ、クォークとの未来を選ぶ姿が男前だった。

こんなスッパリ諦められへんで普通。漢か。

 

四葉

第1部では愛すべきブラコンちゃんでしたが今作では憎たらしい自己中ぶりが目に付きました。アリスと自分さえよければえぇんかいって場面が多すぎる。天明寺が不憫なシーン多々ありましたね…。シグマも普通に裏切られる。

性根は悪い子じゃないって分かるエピソードも織り交ぜてあったけど、前作の四葉がつい恋しくなりました。

 

「アリス」

第1部には伏線的登場でしたが、ice9ネタ無関係なんかいっていう残念ぶり。あと気性が激し過ぎて胸やけ。それとお肌の露出が激しくて安心できない。どんな構造してるんその服。

アリスENDでは包容力MAXのシグマの言動に彼女が感涙するシーンがありますが、気の強い女性の高慢を許す男の懐の深さプライスレスでした。いやあれは惚れるわ。

「父を思い出すわ…」ってアリス言ってたけど、ちょっとした伏線やったのね。

 

「茜」

あの可憐な前作のヒロインはどこへ…と遠い気持ちになる、別人となられた茜さん。ルナに当たりがきつい。切れ者やったのね…。前作から引き続き、陰謀の影に茜あり。前作でも、一番恨んでいるであろう一宮が睡眠薬を飲んだ際に健気に駈け寄ったり、後から思い返すと恐怖に震えるシーンが多くあった曲者です。この人が一番恐ろしい。間違いない。

 

金庫のパスワードを集める謎解き

前作で、分岐を効率的に消化しないと「一度クリアした謎解きをもう一度しなければならなくなる」といったことがありましたが、今回はそれは改善されていました。
ゲームクリエイターさん工夫がすごい。

同行する面子で行き先が変わるカラード・ドアのシステムは、顧みれば黒幕の作為も感じられる面白い仕組みでした。

シグマのずば抜けた記憶力、という特技を生かしたメモとして、金庫のパスワードがいつでもレビューできるのも便利な機能でした。

 

第3作『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』

ZERO ESCAPE 刻のジレンマ | スパイク・チュンソフト

3部作最終章の舞台はアメリカ、登場人物もアメリカ人的な方々が多めで、英語音声がしっくりと来ていました。

しかしゼロの声がとにかく聞き取りにくくて、英語音声はほぼ聞き取れず。

 

前作から引き続きご登場の人物が4人もいたのに、風貌が変わり過ぎてて淳一と茜に全く気付かなかった。

(こういうミステリ色の強いゲームは、内容の予習をむしろ避けて遊ぶがゆえ、遊び始めるまで登場人物さえ確認してなかったため)

 

各チームの辿った歴史を時系列に関わらず断片的に選んで読み進めていくのは面白い体験だった。

最後まで遊んで振り返ると、主要登場人物たちを傍観していたデルタの目線を追体験しているようなプレイ体験だと思われました。

 

ちなみに。

本編終了後にfile機能から各主要登場人物に係るエピソードが小説的に読めたので、もしかして見逃している人は要チェックです。
こっそり出す情報量じゃないよってストーリーが描かれています。
欲を言うならフローチャート選択画面でもfile機能使えたら便利だったのになと思います。

 

まるで映画鑑賞なゲームスタイル

謎解きや選択肢を選ぶ場面以外は完成されたムービーを鑑賞するスタイルが、完全に映画鑑賞でした。手元が暇でした。

内職しながら出来るゲーム。私はアイシャドウ塗布の新しい組み合わせを模索したり洗濯物をたたみながらゲームしておりました。

ストレッチとか筋トレしながらも出来る。(どうでもいい)

 

謎解きの報われなさ感が底抜け

せっかく謎解きをクリアしても、毎度ゼロに仕向けられる理不尽な展開に辟易しました。シリーズ通して随一の報われなさ、展開のグロテスクさを覚えました。

こら17歳制限かかってもおかしくない。いちおうピンクな?シーンもあるし。

滑らかに動くキャラクターに演じさせると生々しさが倍増するのでした。

 

ゼロに目的があったのは最後に明かされるにしても、謎解きが報われないのはスッキリしなくてプレイヤーの気分としてよろしくないと思いました。

 

主人公とヒロインの座がついにSHIFT完了したのを目撃

淳平と茜が主人公とヒロインだと、『9時間9人9の扉』を楽しんだ者として思っていたかった。

善人シボウデス』でも結ばれなかった残念な淳平と茜の1つの展開を見させられ、ついに最終章に妙齢の2人が再会、危機的状況に追い込まれてついにハッピーエンドに向かえる可能性も出てくるのか?と冒頭は期待もあった。

 

しかし、淳平と茜がもう、いろいろ酷い(笑)

カルロスそっちのけで2人のラブラブ世界爆発させたかと思いきや、淳平が死んでしもたらもれなく茜の過激な制裁がカルロスに見舞われたり、

命がけでカルロスは淳平と茜を救いにSHIFTしたのに、2人に実質「空気読めてない」レベルのことでけちょんけちょんに怒られたり。

 

一方でシグマとダイアナである。

ダイアナという名前からすぐにルナとのリンクが見えますよね。それにシグマとダイアナがなんか最初からお似合いで、いい感じでした。

複雑で、まさにゲームのメインシナリオ進行時点では報われない人生を歩んできたであろうことがうかがわれるシグマに、幸せが来るなら来て欲しいねぇと思いながら遊んでました。

 

幸せな展開かどうかはさておき、

シグマとダイアナだけが取り残された施設内での10カ月ほどの物語のムービーは、完全にSF映画のそれでした。

ある意味エデンで、ある意味監獄の環境下で、異なる世界線の恋人と共に閉じ込められるって、すっごいファンタジーな話である。

ドラマやった。

 

前作からの謎だったファイの出自に感涙

ファイの「地毛は赤毛なんだ」ってセリフが出た時点で「えっ」って思った人も多かったと思います。そこから真相判明まで長かった…むずむず気になって仕方なかった。

あの銀髪というか白髪で、サンタとのつながりを前作から妄想してたんだけど大ハズレでした。

 

ところでトランスポートに同行したブローチのオリジナルは一体どこにあったのかってのが未だに気になる。

アオイトリのオルゴールのオリジナルはダイアナの私物であるとして、それをルナに贈ったのはシグマなのか。(そのわりにはダイアナの私物としてアオイトリが出た瞬間にシグマ博士エライ驚いてた?)

 

とにかく、親子が再会を喜び合うシーンはめっちゃくちゃよかったです。

善人シボウデス』でシグマとファイが共闘したのもセンチメンタルに思い出される展開でした。

 

黒幕のことも愛してやってよオカアサン

ひねくれデルタに対する当たりの厳しさよ…。余計ぐれちゃう。

「この世界線にもう用はない」とかすげー発言かまして、ママにだけ手をかけないデルタ坊ちゃんが切ない。用はないんやろ?パパにはあっさり手をかけたのに。

その後デルタ坊ちゃんがダイアナをどうしたのかの描写は本編に一切ない。

そしてママとパパが、娘にしたように息子を愛でるシーンは一切ない。

SHIFT能力を持たないデルタが124歳まで存命してパパとママに会いに来てるのに!

全然かわいくない息子だけど!(笑)

あれちゃう?アオイトリ鳴らしたりしたらママもパパもきゅん…とかしたんちゃう?(本編に絶対不要なセンチメンタルシーンになるかと思われる)

 

感想まとめ

全編通して壮大な物語でした。

まだフリー・ザ・ソウルとか、いまいち明らかにされ切ってなくて気になることはありますが、まさかの続編もあり得るので、あまり深く考えず楽しみにしています。

ただの残酷ゲームじゃないよ、脱出だけがオチじゃないよっていう物語は、救いがあって自分としてはありがたいなぁと思いました。

ただ物語が深まれば深まるほどオカルトネタは論理が破綻する印象で、続編を遊んでみたいようなそうでもないような複雑な気分です。

 

以上です。