アイアムアヒーローを一気読みの感想
漫画は1冊たりとて手元に置かぬと決めてから、ちまちま電子書籍で購入したりして楽しんでおるのですが。
久しぶりに現物まとめ買いして読みました。
夜更かしして一気読み。
ずっと読んでみたかったのだ。
やっと読めたなぁとしみじみ思いながら楽しみました。
(ネタばれ有りますので、ご注意よろしくお願いします。)
(夜更かし寝不足で一気読みの解釈なので多少の粗は大目に見てやってください。)
主人公、英雄の憎めないダメっぷり。
銃をガシャコンガシャコン繰ってるときの格好良さは淡々と描かれていて、そこが妙にリアルに感じられて。
銃オタの職人芸ってこんなんかなーと(見たことないが)
ここだけ切り取って増幅すれば、英雄かっけぇぇぇー!って興奮がもっと湧きおこったのかもしれない。
が、
銃刀法違反の日本でゾンビ・パニックが起こって自分の周囲に危険が及び始めたその時に、猟銃を背負って歩いている男って
そんなん…
めっちゃカッコよく見えるに決まってるやん!
頼りがいめっちゃめっちゃあるやん!
助けてくださいお願い!ってなるやん…?
でも、あんまりカッコよくない英雄…それが物語の終幕までずーーーっと貫徹されていた印象。
『アイアムアヒーロー=俺は英雄』という意味なんだな結局…と最後まで読んで感じました。
死線を何度も潜り抜けたのち、ゾンビ・パニックで人っ子1人いなくなった池袋で生き続けながら、それでも”相変わらずの英雄”で居続けられる主人公。
それが、フィクションとしては物足りない感じも覚えさせるんだけど、英雄というキャラクターをえらく人間臭い存在に見せていると思いました。
人間よくもわるくも、そんな簡単に「はいっ別人!」って変わらないよね。
環境によって性質や行動の変化は多少なりともあれど、過去・今・未来の異なる時点においても”同じ人間である”という安定した自認が、個人をその個人たらしめている…
そこが揺らいだとき、人はパニックを起こすのだと思います。
作品中にもゾンビ・ウィルスに感染したことを自覚した個人が、自我を失い他人を襲うことを恐れ自殺に及んだりするシーンがありました。
それに比べたら英雄めっちゃ強いな…彼女の徹子がゾンビ化してるからって多少懊悩したとはいえ首を切断できるなんて…
エンディング間際の鹿の解体シーンの方がビビってるように見えるのは気のせい?
多少鈍感でも、どんくさくても、気に病まずに生き続けられるって強いなぁ…
いや全然なんにも気に病んでへんかは外見からは分からんことやけど…。
ヒロインその1、比呂美。
ゾンビ・パニックになくてはならない女子高生要素(って、個人的に思う。女子高生が主要登場人物って多い?)
彼女のゾンビ・ウィルス感染が判明したときはもう、わたし一度本から顔を離して深呼吸しました。
作者このやろーと嬉しい様な許せん様な気持ちになりました。
ひげ面のオッサンとハゲたオッサンばかりが写る絵面の、彩り的存在の、比呂美ちゃんが…でもハラハラするぜ…おもろい!と、複雑勝手な読者心情ですね。
その後の彼女の主観描写は、読者にゾンビ=ZQNの世界観を垣間見せます。
ZQNは病原菌に感染した死者ではないのでは?と思わせられる描写ばかりです。
ところで、なぜ英雄は比呂美を保護し、経過観察して、お世話することまで出来たのだろうかと考えると、
①比呂美に愛着が湧いていた。
②既にたくさんのZQNを目にして、比呂美が何やら特異なZQNだと判別できた。
③既に徹子に感染させられ密かにZQN化していた英雄には、彼女が女王蜂だと判別できたので(もしくは特別だと分かったので)、他のZQNと同等に排斥できなかった。
まぁどっちにせよ、英雄が比呂美を保護してるって分かったときは「よくやった英雄!」って思いましたよ。
比呂美ちゃんカワイイから!オッサンばっかりの絵面の華だから!笑
そして比呂美は最後どうなってしまったのか。
ZQN集合体の中に取り込まれたまま沈黙しているのか。
全の一になり漂っているのか。
私にはどうも、若返ったオバちゃん(固有名称なし)が気になって仕方ない。
能力移植というか、身体的もしくは代替的な生まれ変わりをオバちゃんを媒体として比呂美は果たしたのでは?
とか
なんか無理矢理な解釈をしております。
生き残った伊豆半島人類組の、女王蜂的存在になってるのもまた…、比呂美ちゃん、無事だったの…?って思いたくなる。
オバちゃんが若返ったことを、クルス集のヒーロー的行為と見なしているネット感想も多かったのでナルホドと思いました。
でも、英雄のZQN集合体を打ち抜いた弾丸が比呂美の片目を打ち抜くシーンが印象的で、もともとオバちゃんも片目を身内にやられて眼帯してたわけやけど、
いやでもその後、比呂美ちゃん両目共に打ち抜かれてるような描写あるな…。
…つまりこれは、そうだったらいいのになという、私の願望ですね。
あのカワイイ比呂美ちゃんの最後がこれでは嫌だという(笑)
ヒロインその2、つぐみ。
大人のお姉さん。
そういやこんなカワイイ名前でしたね…って思った後ですぐ忘れちゃうくらい、描かれている人間像とのギャップがでかい。
キャラ立ちしている名前って本人のおおよそのキャラクターとギャップあると悪目立ちするよね…誰でも個別にキャラがあるから名前にわざわざキャラを与えなくてもいいよ…と思うのはまた別の話。漫画とかゲームとか、フィクションにおいては名前はキャラクターの明確なコードになる。
本編では「この名前は可愛いすぎるから、小田と呼べ」と、つぐみさん本人が言っております。
さて、つぐみさん。
可哀そうな最期でした…。
って思ってたら終幕手前、ZQN化した妹ちゃんとの邂逅シーンが描かれ、あれ?死んだのでは??と思いきや、やっぱりゴミ収集車でちゃんと処理されているという。
ZQNに関すると、私らの通常の時間間隔には縛られない次元になってしまうのかもしれません。
宇宙人っぽいですねー。回収されてないのでは?と一部批判のあるZQN宇宙人侵略の一手説ですね。
しかし個人的にあれまーと思ったのは、つぐみの外見的特徴と、英雄の元カノ徹子の昔の外見的特徴の近さ。
状況がそうさせた部分は大いにあるにしろ、なんだかなーと、そこんとこ思うことがあったのかどうか、英雄本人に語っていただきたいとこです。個人的に(笑)
謎多き噛ませ犬、クルス。
その存在感とか、こういうパニック物にはよくある『謎に絶対的強者っぽいイレギュラーな敵』というキャラクター。
この人物の存在が、ストーリーをS・Fぽくさせていると思う。
で、彼ら最後どうなったの?ってところの描き方が曖昧。
人類側にレジェンドを残す散り方をしたような、そうでもないような。
ただまぁ、なんでしょう、ブリーフがずっと綺麗だったイメージ。
あんな血みどろの世界で。
何枚持ってたんやろ。
ピッタリサイズのブリーフ。
実は真のヒーロー?コロリ。
いやもうアンタがヒーローやんっていう存在感と行動力と機転の良さ、最後に子宝にも恵まれちゃってる描写が入る、大先生。
なぜ彼は語尾がでしゅ、ましゅ、だったのか…??
格好良く見え過ぎないために…??
殺伐とした ZQNだらけの世界で、コロリ大先生のギャグっぽい存在感は、なんか清涼剤みたいでした。
登場の少ない主人公みたいなキャラクターだった。
まとめ
絶望的な世界で、英雄がずっと英雄で、タイトル通りでした。
作者の描き切る作家根性がすごいなーと思いました。
描き切ってこそプロです。なんと批判を浴びようと。
え、このエンディングって描き切ったって言えんの?とか辛口な御方もいらっしゃるでしょうが、私は「描き切ってる」と思いました。
伏線回収されてねーじゃんって方もいらっしゃるでしょうが、漫画で且つ商業誌ですからね。
その都度の勢い的な面白さが多分勝っちゃうのだと私は思います。
個人的には大満足してないエンディングやったけど。
比呂美ちゃんが恋しい感じ。
あと個人的に、
自分が一気読みしてるタイミングに
AmazonのKindleで1~3巻が無料で公開されてたのが何よりもショックだった!!!!
以上です。